コラム
ベトナムの元旦節 テト・グエン・ダン
みなさん Xin Chào!
みらいホーチミンのQuangです。
今、ホーチミン市は乾季の暖かい時期で、とてもすごしやすいです。暑いですが湿度は低いため、日陰に入ると涼しい風が吹いてきます。カラッとした晴れの日が多く、12月~2月は朝晩の気温が20℃位に下がることもあり、少し肌寒く感じることもあります。
さて、約2週間後はベトナムの最も重要な祝日・祭事であるテト・グエン・ダン(Tet Nguyen Dan/元旦節)です。一般的にはテト(Tet)としてよく知られています。中国の春節と同様、ベトナムでは旧暦で新年をお祝いします。旧暦1月1日~1月3日までがテトとなり、今年は新暦で2月10日~2月12日になります(休暇は2024年2月8日(木)~2月14日(水)の7日間)。
テトの前とテトの準備
ベトナムの家庭では、テトの前に家の中を大掃除して、きれいにするのが一般的です。これは、古い物を送り、新しい物を迎えるという観念があり、前年の不運を取り除き、新年を迎える準備をすることを象徴しています。
また、お墓参りの習慣もあり、家族の祠を掃除し、お香を焚いて先祖の写真を置き、花や果物をお供えします。
街中には色とりどりの花が飾られ、お祭りのように活気があふれた雰囲気で、テトを盛り上げます。
玄関前には次の年の豊穣を願い、花を飾るのが伝統のようです。様々な縁起の良い花・木が飾られますが、代表的なものは桃の花、アプリコットの花、菊の花及び金柑です。
テト間近になると全国各地で花市場が開催され、たくさんの綺麗な花が並ぶことからテトの風物詩の一つになっています。北部ではピンクの桃の花で、中部や南部では黄色いアプリコットの花が人気です。これらがなぜ人気かというと黄色は金運の上昇、ピンクには魔除けの願いが込められており、金柑は実がたくさんなることから子孫繁栄等の縁起物とされているからです。
街中の市場やスーパーでは、花以外にも旧正月の装飾品や贈り物として、お年玉袋、書道の絵・掛け軸等も売られ始めます。
大晦日には先祖を出迎える儀式も大切にされています。この習慣は南部の人々の精神生活面で重要な意味を持ちます。祭壇への供え物として欠かせないものは「mam ngu qua」です。これは、「mam」はお盆、「ngu」は数字の5、「qua」は果物で、「大皿の上の五色の果物」という意味で、五色の果物を綺麗に並べて飾ります。共産主義であるベトナムでは労働を尊いものとしてその成果を5つの言葉に込めており、これを日本語で表すと「富」・「貴」・「寿」・「康」・「寧」となります。総じてこの「mam ngu qua」は繁栄と富貴の象徴となり、たくさん実がなる縁起物の代表である果物でこれを表現していると言われています。
テトの食べ物
テトで人気の果物はスイカ、ドラゴンフルーツ、パパイヤ、マンゴー、イチジク、カスタードアップル、ザボン等です。前述の通り、大皿の上に5色の果物の定番はカスタードアップル、ココナッツ、パパイヤ、マンゴー、イチジクです。この5種の果物はベトナム語の発音で、「十分に繁栄を願う」と似ているからです。
テト料理も沢山あります。ベトナム人にとって非常に重要な伝統料理はバンチュン(Bánh chưng/ちまき)です。これは、バナナやココナッツの葉っぱに、もち米や豚肉や緑豆等を包んで蒸す料理です。ベトナムの旧正月といえばバンチュンです。
次に、豚肉と卵の角煮のティッコータゥ(Thịt kho tàu/ラフテーのと同じ)とユア・モン(Dưa món・漬けものと同じ)も一般的です。ユア・モンは人参・玉ねぎ・ラッキョウなどのピクルスで、バンチュンと一緒に食べるともっと美味しいです。
また、自宅を訪れたお客様向けに、どの家庭でも居間のテーブルに、菓子を盛り付けたおぼんが置かれています。その伝統菓子はフルーツの砂糖漬けのムット(Mứt)で、おせち料理のように種類と色が豊富で、それぞれに意味があります。
テトは何をする?
ベトナム人の多くは実家に帰省して、家族で過ごします。一年の苦労を経て、家族全員が一緒に楽しい時間を過ごせる唯一の機会かもしれません。しかし、近年では帰省だけではなく長期休暇を利用して遠方に旅行する人も増えてきました。
新年の挨拶として、初詣や知人を訪ねて、子供やお年寄りに幸運のお年玉をあげたり、旧暦の吉日に店や会社を開くなど、多くの習慣が守られています。
ベトナムは日本同様、「大人から子供にお年玉をあげる」文化がありますが、日本にはない「大人がお年玉をもらう」こともあります。自分の両親にお年玉にあげたり、会社の社長・マネージャー等が社員・部下にお年玉をあげたりします。
最後にベトナム語の「あけましておめでとうございます」をご紹介します。「Chúc mừng năm mới」(チュック・ムン・ナム・モイ)。
来年もよろしくお願いいたします。