コラム
海外で怪我したとき(後半)
みなさん Xin chào !
みらいハノイの山本です。年度初めの会議や国内社労士業務の引継ぎの為に、7月上旬は日本への一時出張でした。怪我を抱えたまま、どうやって帰ったのかと思われたでしょうが、なんとか松葉杖で移動し、全ての日程を無事に終えて、現在ハノイに戻る途中の空港です。
松葉杖の状態では、出国審査や手荷物検査等何一つできないのですが、航空会社のスタッフの方が車椅子を押してくれて、全てをサポートしてくれました。
私はいつもVietnam Airlineを利用するのですが、サポートが至れり尽くせりで本当に助かりました。(航空会社によってサービスの内容は異なるようです)
さて、前回に続き、海外での怪我の経験についてシェアできればと思います。
3時間後に手術が迫っていたわけですが、何か特別できることもないので淡々と時間が過ぎていったのを覚えています(唯一この間にプライベートスマホで関係各所に連絡を取ることができ、良かったです)
英語での良く分からない承諾書や、入院の部屋選択をせまられ、諸々手続きを済ませます。
(何も考えず個室を選択し、差額ベッド代がかかることをこの時はうっかりして気づけていませんでした)
前回記載したとおり、私は海外旅行保険の証書を持っていなかったのでキャッシュレス決済ができず、すべてクレジットカードで一旦全額立て替え払いしなくてはいけませんでした。
手術はどうやら局部麻酔か全身麻酔か選べとのことだったのですが、私は過去行った局部麻酔に強いトラウマがあったので全身麻酔を選択。英語(たまにベトナム語)で色々説明されて
良く分からず心の準備もさせてもらえないまま、気づいたら終わっていました。(笑)
そこから先はよくある退屈な入院生活です。フランス系の病院だったので食事は洋食も選べて良かったです。3日で退院できたわけですが、今回の診察・手術・入院の一連の総額は約90万円位でした。海外に行かれる人はクレジットカードの上限額を必ず数百万には設定しておくことをお勧めします。ASEANという地域は医療格差という言葉があるように、お金を払える人はより高水準の医療を受けることができます。安価なローカルの病院と高額なインターナショナル系あるいは日系の病院を選べる立場であるならば、迷うことなく後者を選ぶべきだと思います。安価にこだわり低い水準の医療を受けたことで悲しい事故や事件が起きてしまった事例は駐在員の間ではたくさんあるからです。
さて、退院後は通院しながら自宅療養(在宅勤務)になりましたが、トイレ等はなんとか松葉杖で一人で問題無かったものの、困ったのは食事。私はアパートの8階に住んでいるので、わざわざ1階に降りて外食に行くことはできません。選択肢としては
① 自社のスタッフや友人に毎回、食事等を買って部屋まで運んできてもらう
② Grab等のデリバリーオーダーサービスを使う
実質この2つだったのですが、当初は①のように、よく周りの人に買ってきてもらっていました。
(特にハノイスタッフの皆には頭が上がりません・・・ありがとうございます。(笑))
少し自宅療養生活にも慣れてきたら②で自分のスマホからオーダーをしていました。ただ、デリバリーの配達スタッフは8階の部屋まではなかなか来てくれないので、アパートセキュリティーの方(にいつも頼んで部屋までリレーしてもらっていました。彼、最初は不愛想でしたが、とても親切に対応してくれました。(最初にこれから迷惑かけると思い、200,000VND程、チップあげたのも大きいかもしれません)
やはり人間は感情の生き物。定期的に誰かに何かを頼みたいときは、チップを少しでも渡すと対応も変わってくるかなぁと学んでいます。
ちなみに日本に一時帰国中は、かかりつけの整形外科に1週間通って診察とリハビリをしました。意外に知らない人もいますが、海外で起きた怪我で海外旅行保険に加入していれば、日本に帰国して療養を受けたとしても通常、自己負担はありません。後日保険会社に自己負担分を申請し、請求することができるはずです。(保険会社により異なる可能性はあるのでご注意ください)
凄腕のリハビリトレーナーのおかげで少しずつアキレス腱は回復してきていますが、まだ全快には数か月はかかりそうです。
それでは今回の怪我の経験を通じて強く感じたことをまとめておきたいと思います。
1、 ベトナムではバリアフリーの考えはまだまだ少ない
⇒若い国だからでしょうか。ハンデを負っている方への環境配慮は正直全然足りないと感じました。怪我しないと分からない部分もあるのですが、道も狭く、足場も悪いうえに、階段での手すりやスロープ等は全然整備されていないのが現状です。おそらく数十年後、今の日本がそうなったようにベトナムも社会課題としてこのような意識が芽生えてくるのかもしれません。
2.ハノイの人々への印象
⇒良く聞くベトナムあるあるとして、南部の人は温厚でフレンドリー、北部の人は不愛想で壁を感じる、こういったイメージがあると思いますが、やはり人によるかなぁという印象でした。私が松葉杖で移動している間も、知らないおじさんから疲れるだろうから座って、と椅子を貸してくれたり、階段を上るときに通行人が肩を貸してくれたり、とても親切な人ばかりで助けられたと感じました。まだバリアフリーの環境は全然ありませんが、その分狭いコミュニティの中で相互付与の考えの元、助け合うのが当たり前という価値観があるのかもしれません。日本もかつてはそうだったのでしょうか。(とはいえ、どこの国も悪い人はいるので気を付けましょう!)
ちなみにチップを渡したらより親切になるのは万国共通です。
3.海外旅行保険の偉大さ
⇒ここまで読んでいただければ説明の必要はないかと思いますが、もう海外行く人は絶対必須です。たった1週間の海外旅行でも何が起きるか分かりません。必ず保険は入って、証書とクレジットカードは常備しておきましょう。
それでは皆さん日々健康に気を付けて夏を乗り切っていただければと思います!