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ベトナム最後の楽園「フーコック島」へ行ってみた

ベトナム最後の楽園「フーコック島」へ行ってみた

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フーコック島とは

シンチャオ!みらいコンサルティングベトナムの岩坂です。フーコック島は、ベトナム最南部のキエンザン省沖に位置する島で、タイランド湾に浮かぶベトナム最大の島です。地理的にはカンボジアの領海に近接しており、かつては漁業の島として知られていましたが、近年は国家主導の観光開発が進み、“ベトナム最後の楽園”とも呼ばれる存在となっています。

ホーチミン市からのアクセスは非常に良く、国内線で約1時間のフライトでフーコック国際空港に到着します。空港から主要リゾートエリアへのアクセスもタクシーで15〜30分程度と便利で、週末旅行や短期滞在先としても人気が高まっています。

初めて訪れた際、「本当にここがベトナム?」と何度も自問してしまうほど、自然の豊かさと人工的に開発されたエリアのギャップに驚かされました。現在は国際空港が整備され、“国家プロジェクト”としての開発が進行中。さらに、大規模なカジノリゾートも整備されつつあり、将来的には「東南アジアのシンガポール」に匹敵するポテンシャルがあるとも言われています。

今回は、島の北部から南部にかけて実際に足を運び、観光資源としての可能性と現地の空気感を肌で感じてきました。

北部エリア① Grand World Phu Quoc

Grand World Phu Quocは、ベネチア風の街並みと人工運河が特徴の大規模な観光施設です。まるでディズニーシーの中に本物の街があるような、不思議な感覚に包まれました。ファンタジーのセットかと思いきや、しっかりと現実の建物が並び、運河にはゴンドラまで浮かんでいます。

「ここは本当にベトナムなのか?」と感じてしまうほど圧倒され、ベトナムの国家的な都市開発の力強さを実感できます。ただ、現時点では空きテナントが多く、窓には営業しているかのような「騙し絵」シールが貼られているなど、ハリボテの街になっている面も見受けられます。人も少なく、どこかゴーストタウンのような雰囲気も漂っています。

とはいえ、その特殊な環境が逆にフォトジェニックな空間を生み出しており、整備されたインフラと美しい景観から、今後の発展が大いに期待される場所です。

北部エリア② VinWonders Phu Quoc

VinWondersは、Vingroupが運営する東南アジア最大級のテーマパークです。

敷地の広さや建物の造形、テーマ構成のスケールからして、「ベトナム版ディズニーランド」と呼ぶにふさわしい完成度を誇ります。園内を歩いていると、設計者のディズニーへの憧れが随所に感じられ、まるでオマージュのような空間が広がっています。Vingroupの「ベトナムの人々にも本格的なディズニー体験を届けたい」という強い思いが伝わってきました。

一方で、一見テーマが統一されているようで、実はされていない「いい意味でのカオス感」も漂います。この振り切った演出とデザインの多様性こそが、ベトナムらしさを体現しており、園内を歩くだけでも自然と楽しい気分にさせてくれます。

特に印象に残ったのは、想像を絶するスケールでそびえ立つ巨大な亀型の建物内にある水族館。造形美と展示内容のクオリティが高く、大人でも十分に楽しめる内容でした。

スリル系アトラクションも豊富で、特にジェットコースターは富士急ハイランドの「ドドンパ」を彷彿とさせるような急加速を体感できるなど、驚きの連続でした。アジア圏におけるテーマパークの新たなスタンダードを感じさせてくれます。

北部エリア③ Starfish Beach

こちらは一転して、ベトナムの雄大な自然を体感できるスポットです。

Starfish Beachは、港に到着すると複数のボートオペレーターが客引きを行っており、価格を個別に交渉することでボートをチャーターできます。ボートは片道約5分、相場は1人あたり20万〜30万ドン(約1,200〜1,800円)程度です。

浅瀬に足を踏み入れると、無数の赤いヒトデが点在する幻想的な光景が広がり、まるで異世界に迷い込んだような感覚に。野生のヒトデを間近に観察、触れる体験はなかなかできるものではなく、写真映えはもちろん、自然の力強さを感じさせてくれる貴重なスポットです。

現在は多くのヒトデが見られますが、観光客の増加による環境への影響も懸念されています。今後も同じ光景が保たれるとは限らないため、訪れるなら早めの時期をおすすめします。

中部エリア|Dương Đông Night Market

また、フーコック国際空港がある中部エリアには、島最大のDương Đôngナイトマーケットがあります。観光客で非常に賑わっており、地元の海産物を提供する屋台や、オリジナルのスーツケースタグ、木彫りのネームキーホルダーなど、旅行者に人気のグッズも手に入ります。チャームやイニシャルをその場で入れてもらえるサービスもあり、価格は約5万ドン(300円程度)とお手頃。旅の思い出として一つ作ってみるのもおすすめです。

 

南部エリア|Sun World

こちらも街全体がイタリアのような雰囲気を漂わせており、ベトナムにいながらヨーロッパを訪れているような気分になれる街づくりが印象的です。

フーコック島からホントム島を結ぶロープウェイは全長約7.9km、世界最大級の三線式ロープウェイとしても知られています。

その滑らかに空を渡る姿は、島の景観の中でひときわ目を引く存在です。ロープウェイ駅の建物は、イタリアの世界遺産・コロッセオを模した巨大な構造で、一見の価値があります。

夜には「Kiss of the Sea」と題された有料ショーが開催され、専用ステージを舞台に、水・光・映像・アクロバットを駆使した迫力ある演出が繰り広げられます。内容は“人間と宇宙人の恋愛”というユニークなストーリーで、初めは戸惑いを覚えましたが、最後には思わず拍手を送っていました。極めつけには“力技”とも言える大量の花火が夜空を彩り、観客のボルテージは最高潮に。奇抜なストーリー以上に、演出の完成度に圧倒され、“鑑賞”というより“没入”に近い体験でした。

また、「Kiss Bridge」と呼ばれる2本の橋が、海上でわずかな隙間をあけて向かい合う構造も印象的で、ロマンチックな写真スポットとして人気を集めています。

総括

訪問時には、日本人や韓国人観光客が多く見られました。特に韓国語表記の看板や韓国系の飲食・物販店舗が目立っており、現地での韓国資本の存在感を強く感じます。特に驚いたのは、インド人観光客が思った以上に多かったこと。ホーチミン市内ではあまり見かけない層が、フーコックのような観光地には積極的に訪れているという事実に、ベトナムの観光インフラの国際性を感じさせられました。

また、ベトナム人ファミリー層の来訪も非常に多く、観光地であるがゆえに物価は決して安くないにもかかわらず、こうした層が多数訪れていることから、ベトナム国内における可処分所得の上昇や経済成長を強く感じさせられます。

フーコック島は、自然と都市開発が共存する“未完成のリゾート”として、今しか見られない独特な魅力を備えています。大規模な観光施設の整備が進む一方で、手つかずの自然も随所に残されており、観光地としてはまだ発展途上です。

現在は空きテナントが目立つ状況ではありますが、先に箱物を整備し、テナント誘致を進めるという明確な開発戦略が垣間見えました。国際的な観光競争力が高まる中で、今後は外資の流入によって更なる発展を遂げる可能性も十分にあると感じます。

それゆえに、今このタイミングで訪れるからこそ、“発展の途中”という貴重な過程を目の当たりにできる、非常に価値ある経験となるはずです。

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