コラム

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ベトナムの徴兵制度について

ベトナムの徴兵制度について

ベトナムの徴兵制度について

みなさん Xin Chào!

みらいホーチミンのQuangです。

突然ですが、皆さんはベトナムの軍隊についてご存じでしょうか。私が日本で仕事していた時にベトナムとの大きな違いの一つに軍隊があるか無いかということがありました。

2024年の統計データによると、ベトナム人口は9,941万人の中、軍人数は48.2万人、予備兵士人数は500万人以上です。

ベトナムでは1975年以降、徴兵制が採用されています。基本的にベトナム人男性は18歳から25歳まで、軍隊に入ることを義務付けられています。(詳細は下記兵役対象に記載)

なお、免除または延期される場合がありますが、基本的に少なくとも24ヶ月の兵役義務があります。

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兵役対象

18歳から25歳までが徴兵の対象年齢とされます。なお、大学等に入学したことにより兵役を延期した者については、27歳になるまで徴兵の対象とされます。

徴兵の年齢に達した男性は、兵役に従事しなければならないとされています。

女性については、平時であれば、原則として志願者のみ兵役に従事することになります。つまり原則、男性は強制、女性については志願制ということになります。

その他の資格は下記のようになります。

・適切な経歴を有していること

・法令や共産党の指針を遵守する者であること

・兵役に従事することができる健康状態を維持していること

・適切な教育水準を保持していることも入隊の条件とされます。

兵役対象外

法律で定められた

・障害のある人

・重篤な病気にかかっている人

・精神疾患の人

・慢性疾患の人

兵役義務の一時免除対象

・入隊前の検査により良好な健康状態にないことが認められた者
・労働能力を失った家族、または若年者(労働年齢でない者)を1人で養う者、また人民委員会により認定される危険な事故・災害・疫病により深刻な被害を被っている家族の唯一の稼ぎ手である者
・病気の兵士および枯葉剤の影響により労働能力の61%~80%を失った人々の子供
・実の兄弟姉妹が人民軍に入隊中・人民警察の職に就いている者
・3年以内に省以上レベルの人民委員会が決定する「社会経済開発プロジェクト」で経済社会状況が特に困難な地方に移住した者
・経済社会状況が特に困難な地方に赴任している公務員、青年ボランティア
・義務教育機関の在学者、大学、職業教育機関での高等教育を受けている者

兵役義務の免除対象

・革命戦死者(ベトナム戦争での戦死者)または1級負傷兵の子供
・革命戦死者(ベトナム戦争での戦死者)の唯一の兄弟
・2級負傷兵の唯一の子供、枯葉剤により81%以上の労働力を失った者の唯一の子供、81%以上の労働力を失った病兵の唯一の子供
・人民軍・人民警察以外の機密・重要業務執行者
・経済社会状況が特に困難な地方に24か月以上赴任している公務員、青年ボランティア

兵役を逃れた者に対する処分

・健康診断受診の命令状で指定された時刻及び場所に出頭しなかった場合、3,000万~ 4,000万ドン(約18万700円~25万円)の罰金

・健康診断結果を偽造した場合、4,000万~5,000万ドン(約25万円~31万2,000円)の罰金

・入隊令状で指定された時刻及び場所に集合しなかった場合、5,000万~7,500万ドン(約25万円~46万8,000円)の罰金

・罰金処分を受けたにもかかわらず再度兵役を逃れた場合、禁固3か月~2年

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軍隊生活は非常に厳しく訓練されるため、軍人は徹底的に鍛え上げられます。その環境の中で、「規律」、「団結」、「意志」、「威力」と言う教育を受け美徳な人格に育っていきます。

日本は安全な国ですから軍隊が身近な存在ではないかもしれませんが、ベトナムは世界軍事力ランキングの22位、東南アジアは2位となっています。

 

<業務上における注意点>

ベトナム人にとって兵役は義務となりますので、当然、会社の業務にも影響が出るケースがあることを忘れてはいけません。例えば、前述の健康診断受診の命令が出て、行かなかった場合は、本人に罰金が課されますので、会社は業務上の配慮をする必要がありますし、その健康診断受診までの交通費を出してくれるのか、といった相談が来ることもあります。また、在籍中の従業員が兵役に行く場合は、その期間の労働契約が停止されるという定めが労働法にはあります。よって、兵役期間中は給与の支払い義務はありません、一方で兵役義務の間は雇用が停止されるに過ぎない為、これを理由に解雇等を行うことは禁じられています。また、兵役義務が終了した者は15日以内に業務に復帰することも労働法で定められています。それにもかかわらず職場復帰しない場合は、会社による労働契約の解約の根拠となりますので、ご参考にしていただければと思います。

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